間質性肺炎・肺線維症センターについて

ご挨拶

長い臨床経過をたどる患者さんを
最後まで診療する、「診切る」医療。

2018年より、福島県初の間質性肺炎・肺線維症センターを開設し、大学水準かつ患者さんにとって最良の医療が提供できるように日々努めています。呼吸器疾患全般にわたって診療しておりますが、中でも間質性肺炎(肺線維症)や治療困難と言われている様々な呼吸器疾患を中心に診療しています。当センターでは、当院かかりつけの患者さんの24時間受け入れを可能としています。
当院では間質性肺炎患者さんが精査あるいは治療目的で入院されると、各部署の専任担当者を中心に一連の業務に当たり、迅速かつ適切な診療を可能にしています。多くの間質性肺炎患者さんに対して、限られた医療スタッフで質の高い診療を提供することを目的とし、「薬剤師外来」「看護師外来」などの導入、「病棟薬剤師による代行処方入力」「理学療法士や作業療法士らによる呼吸リハビリテーション」「栄養士による栄養指導」などを行っており、多職種との強固な連携・協力が必要不可欠と考えています。

診断していく過程で、適応と必要性が高い場合は、外科的肺生検(胸腔鏡下肺生検)を行うこともあり、これまでに約250名の患者さんが診断目的で手術を受けています。本邦では、特発性肺線維症の難病医療費助成制度により認定基準を満たせば、高価な抗線維化薬を使用する際も高額医療費の軽減が可能となるため、積極的な申請を行っています。さらに、現在までに当院では6名の間質性肺炎患者さんが肺移植を受けており、その内4名が東北大学病院で脳死肺移植、2名が東京大学で生体肺移植を受けています。

最後に、間質性肺炎は急性期から終末期まで長い臨床経過をたどるため、患者さんを最後まで診療していくことで、ご本人、ご家族ならびに紹介元の非専門医や開業医の先生方も安心でき、信頼関係が築かれていると感じております。

このように我々の間質性肺炎診療の責務は大きく、身の引き締まる思いで日々の臨床を行っております。

院長兼呼吸器科部長兼 間質性肺炎・肺線維症センター長
杉野 圭史

センター長紹介

院長兼呼吸器科部長兼
間質性肺炎・肺線維症センター長
杉野 圭史
履歴
1999年3月 東邦大学医学部医学科卒業後,同付属大森病院にて研修
2004年10月 国家公務員共済組合連合会虎の門病院呼吸器内科に出向
2007年4月 東邦大学大学院医学研究科博士課程入学
2011年3月 東邦大学大学院医学研究科博士課程修了,博士(医学)(東邦大学甲第417号)
2011年4月 東邦大学医学部医学科助教(内科学講座呼吸器内科学分野)
2013年4月 東邦大学医学部医学科講師(内科学講座呼吸器内科学分野)
同年より,イギリス(ロンドン)ロイヤルブロンプトン病院放射線科に留学
2014年4月 東邦大学医学部医学科講師(内科学講座呼吸器内科学分野)
2017年4月 一般財団法人慈山会医学研究所付属 坪井病院
2018年1月 同 間質性肺炎・肺線維症センター長
2019年7月 同 呼吸器科部長
2020年7月 同 副院長
2023年4月 同 院長補佐
2023年10月 同 院長
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本呼吸器学会
  • 日本呼吸器内視鏡学会
  • 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
  • 日本感染症学会
  • 日本肺癌学会
  • 日本緩和医療学会
  • American Thoracic Society;ATS
  • European Respiratory Society;ERS
  • Asian Thoracic Society of Respirology;APSR
資格
  • 日本内科学会認定内科認定医・専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会呼吸器内科専門医・指導医・代議員
  • 気管支鏡専門医
  • 日本感染症学会専門医
  • 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会評議員
  • 難病性疾患政策研究事業びまん性肺疾患に関する調査研究班(須田班)研究協力者
  • インフェクションコントロールドクター(ICD)
  • がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
  • びまん性肺疾患学術部会将来計画委員,男女共同参画委員

メンバー全員が能動的に動く「考えるチーム」の実践

間質性肺炎・肺線維症センターは、医師3名・看護師7名・理学療法士2名・作業療法士1名・薬剤師2名・臨床検査技師1名・ソーシャルワーカー1名・管理栄養士1名・歯科衛生士1名からなる多職種のチームで構成されており、間質性肺炎患者さんが精査あるいは治療目的で入院されると、各部署の専任担当者を中心に一連の業務に当たり、迅速かつ適切な診療を可能にしています。

従来のチーム医療では、医師が中心となって治療方針を決定し、他の医療職種は医師の指示に従って治療を行うことが一般的でした。
しかし、様々な病態や経過があり、必要な介入も異なる中で、各職種は役割を能動的に考えて行動する必要があります。医師に依存している形だけの組織ではなく、医療職種がそれぞれの専門性を活かし、患者さんの病状や治療方針について話し合い、連携して治療を行うことで、患者さんにとって最適な治療を提供することができます。

間質性肺炎・肺線維症センターでは、「自らが考えて行動するチーム医療」の実践で、今後も患者さんとご家族のQOL(生活の質)の向上や質の高い医療を提供していきます。

チーム構成

間質性肺炎・肺線維症センター長
呼吸器科部
院長
杉野 圭史
呼吸器内科 医長 小野 紘貴
呼吸器内科 医員 齋藤 美加子
看護師 遠田 典子、熊谷 幸枝、佐藤 望、中島 美穂、阿部 和也、遠藤 央基、平栗 裕太
理学療法士 八木田 裕治、馬上 修一
作業療法士 須藤 美和
薬剤師 関根 悠、築地 洸大
臨床検査技師 川田 直樹
ソーシャルワーカー 星 美加
管理栄養士 古川 紗香
歯科衛生士 宗方 まどか

担当医紹介

院長兼呼吸器科部長兼
間質性肺炎・肺線維症センター長
杉野 圭史
専門分野
呼吸器内科
(間質性肺炎診療 特に特発性肺線維症の病態ならびに治療に関する研究)
出身大学
東邦大学大学院医学研究科
認定等
  • 日本内科学会認定医・専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
  • 日本感染症学会専門医
  • 難病性疾患政策研究事業 びまん性肺疾患に関する調査研究班(須田班)研究協力者
  • インフェクションコントロールドクター(ICD)
所属学会等
  • 日本内科学会
  • 日本呼吸器学会(代議員)
  • 日本感染症学会
  • 日本肺癌学会
  • 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会(代議員)
  • 日本呼吸器内視鏡学会
  • 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会(評議員)
  • 日本緩和医療学会
  • American Thoracic Society;ATS
  • European Respiratory Society;ERS
  • Asian Thoracic Society of Respirology;APSR
呼吸器内科医長小野 紘貴
専門分野
呼吸器内科
出身大学
東京医科大学
認定等
  • 日本内科学会認定医
  • 日本呼吸器学会専門医
  • がん治療認定医
呼吸器内科医員齋藤 美加子
専門分野
呼吸器内科
出身大学
島根大学
所属学会等
  • 日本内科学会
  • 日本呼吸器学会
  • 日本呼吸器内視鏡学会

当センターの実績

坪井病院赴任後に行った市民公開講座や郡山市内外での講演会、近隣病院への当センター開設のご案内など、多くの方々のご協力により現在、週に5名程度、年間200名弱の新規の間質性肺炎患者をご紹介していただけるようになりました。その結果、2017年5月から2024年3月までに郡山市内外から1,000名を超える間質性肺炎の新規患者が当センターに来院されました。

疾患別内訳としては、特発性肺線維症患者が約50%と最も多く、リウマチ、膠原病に合併した間質性肺炎なども紹介されています。最近では、重症新型コロナ肺炎後の肺障害の患者も紹介されています。

2017年5月~2024年3月までの新規患者疾患別内訳

2017年5月から2024年3月までに1049名の新規の間質性肺炎患者が当センターに来院.

本邦では、特発性肺線維症の難病医療費助成制度により認定基準を満たせば、高価な抗線維化薬を使用する際も高額医療費の軽減が可能となるため、積極的な申請を行っており、現在までに約350名の患者が指定難病を受けています。また、紹介元エリア別では、郡山市内が約半数を占めるものの、市外あるいは県外からも多くの患者を紹介していただいております。

紹介元エリア内訳(県内)

紹介元エリア内訳(県外)

ご紹介を頂いた先生方には、この場をお借りして感謝申し上げるとともに、その責務の大きさを感じており身の引き締まる思いで日々の臨床を行っております。

間質性肺炎の診療は、リスクとベネフィットを考慮した個別化医療(テーラーメイド医療)が必要不可欠であるため、より専門性の高い知識と豊富な経験が求められます。今後も当センターでは、間質性肺炎患者に適切な診断と治療が提供できるように努力してまいります。